「過去問を制する者が、公務員試験を制する」
こう言われているのは、公務員試験では「過去に出題された問題が、何度も繰り返し出題されるケースが多い」からです。
特別区経験者採用の受験を考えているあなたは、今まさに過去問に取り組もうと考えているかもしれません。
ところが、特別区経験者採用に限って言えば、過去問を使わない方が合格率が高まります。
一体どうゆうことでしょうか?
この記事では、特別区経験者採用の過去問とその注意点について解説していきます。
特別区経験者採用の過去問は使わない方が効率が良い
まず率直に言って、特別区経験者採用の過去問には次の問題があります。
- 公式が公表している過去問は不完全な上に、解説が無い
- 信頼できる出版元からの過去問集が発売されていない
先に結論から言うと、これらの問題から「特別区経験者採用の過去問」を使うのではなく、「高卒程度の過去問」もしくは「特別区Ⅰ類採用の過去問」を使う方が効率よく合格点を稼ぐ力が身に着きます。
順に解説していきます。
1.公式が公表している過去問は不完全な上に、解説が無い
特別区経験者採用の過去問は特別区人事院会のHPから閲覧することができます。

ただし、公表されているのは直近3年分であり、著作権の関係で文章理解の問題は削除されています。
しかも肝心の解答が無い・・・。これでは正直使い物になりません。
そこで、各区役所もしくは特別区自治情報・交流センター(飯田橋)では、文章理解を含む過去数年分の問題と解答を閲覧、印刷できるようになっています。
所在地は以下リンクからご覧になれます。

これならば十分な数の過去問を解いて、答え合わせまですることができます。

試験前になると区役所の印刷コーナーに受験生の列ができます!
しかし、この方法にも問題があります。
1つは、一々区役所まで足を運び、過去問を一枚ずつ印刷する手間があるということ。勉強時間が限られている社会人にとってこれはかなり面倒だと思います。
もう1つは、解答解説が無いこと。過去問の正答番号は載っているものの、その解説までは記載されていません。
したがって、不正解だった問題の理由や解答アプローチを確認する手段がないのです。
こうなると、市販されている過去問集があれば助かりますよね。
ところが・・・
2.信頼できる出版元による過去問集が発売されていない
特別区経験者は受験者数が非常に多いのにも関わらず、大手による過去問集が発売されていないのです。
公務員試験の定番である資格試験研究会の 合格の500シリーズやTACの過去問集が特別区経験者採用にもあればベストなんですが、残念ながら発売されていません。
代わりが無いかと探してみても、何やら怪しい販売元の過去問集しか見つかりません。
となると、「解説付きの過去数年分」は諦めるしかないのでしょうか?
安心してください。実はまったく別のアプローチで解決できます。
特別区経験者採用の過去問は、他の過去問で十分代用できる
結論から言うと、「特別区経験者採用の過去問」を使うのではなく、「地方初級」もしくは「特別区Ⅰ類採用の過去問」を使うことで解決できます。
なぜならば、経験者採用の出題範囲は一般的な地方初級試験(高卒程度試験のこと)、特別区Ⅰ類とほぼ同じであり、難易度はⅠ類採用よりも容易に作られているからです。
特にⅠ類採用試験の過去問とほぼ同じ問題が経験者採用で出題されるケースが極めて頻繫にあります。
特別区経験者採用は勉強時間が限られている社会人向けの試験です。
ですので、Ⅰ類採用試験よりも教養試験の問題数が少なく、難易度は容易になっています。
これは過去問を比較して頂ければ一目瞭然だと思います。
すなわちⅠ類採用試験の問題を解くことは、経験者採用受験者にとって高地トレーニングのような効果をもたらすので、これに慣れれば安定して合格点を稼ぐことができるようになるのです。
Ⅰ類採用試験でしたら、市販の過去問集が充実しているので解説付きの過去問を数年分解くことができます。
無理に「特別区経験者採用の過去問」に絞って強度の低い勉強をするよりも、Ⅰ類採用試験の恵まれた教材によって強度トレーニングを施した方が合格率が上がります。
オススメの過去問集はやはり定番の資格試験研究会の 合格の500シリーズやTACの過去問集です。
Ⅰ類採用試験用なので難しい問題があるかもしれませんが、経験者採用の場合はあまり気にせず、基礎の問題をこなしていくだけで十分合格点に達することができるでしょう。
また、時間が限られている場合は一般的な「高卒程度公務員試験」の過去問でも十分です。
難易度的には特別区経験者採用とほぼ同じなので、丁度いいレベルの対策になります。
おすすめは定番の「過去問350」です!
基本的には「過去問350」を使って対策し、余裕があれば資格試験研究会の 合格の500シリーズやTACの過去問集まで手をのばす方針で間違いないでしょう。
特別区経験者採用の論文の過去問対策は?
教養試験はⅠ類採用試験の過去問集で対策できますが、経験者採用の肝は論文です。
社会人採用というだけあって、論文は非常にシビアに評価されます。
論文は過去問から学ぶことが難しいので、特別区の課題やテーマをしっかりと収集することが重要です。
とはいえ、論文はまともに向き合うと非常に難しいうえに、点数が安定しない科目でもあります。
出題テーマを知っているかどうか、イチかバチかで合否が決まってしまうこともあります。
そうした事情もあり、特別区受験生は模範解答を使って勉強するのがメジャーとなっています。
論文はその時のコンディションや出題テーマによって大きく点数が揺らぐ科目なので、模範解答をいくつも覚えておくことで非常に安定します。

他にも寺本さんの論文バイブルもおすすめです。ただし、特別区の事情とはややズレている印象です。国家や県庁を併願する場合はこちらも買っておいて損はないかと思います。
特別区経験者採用の過去問まとめ
数ある経験者採用のなかでも、特別区は採用人数が多いことが特徴です。
したがって、誤った対策をして時間をロスしてしまうと大勢に追い抜かれてしまいます。
特別区の仕事はやりがいがありますし、待遇も申し分ありません。非常に魅力的な自治体なので、ぜひチャンスを逃さず合格を勝ち取ってください!
それでは、あなたの合格と幸せな未来を願っています!
