「区面接って何やるのかよく分からないなあ…」
特別区公務員を目指す人がかならず一度は持つ悩みではないでしょうか?

区面接についての情報が少なすぎて受験のとき苦労しました。。
多くの受験生から区面接について問い合わせを受けていますので、今回は他では聞けない「区面接」について徹底解説します!
特に、各区がどういった試験を行うのか気になる方も多いと思いますので、ここだけで公開していきます。
特別区独特のシステムなので、ここでしっかり押さえておきましょう!
区面接の流れ

まずおさらいですが特別区の公務員になるためには次のステップを踏む必要があります。
- 特別区採用試験の受験申込
- 特別区採用試験を受験
- 特別区採用試験に合格
- 各区面接の受験
- 各区面接の合格(内定)
ここでは特別区採用試験に合格した後に待ち受ける、各区面接から各区面接の合格(内定)までの流れについて解説します。
流れとしては次の図の通りです。

①から順に解説します。
①採用候補者名簿に登録
特別区採用試験に合格すると「採用候補者名簿」というものに登録されます。
合格者一覧だと思って頂いて大丈夫です。これは特別区人事委員会しか閲覧できません。
受験生側で必要な作業は一切ありません。合格すれば自動で登録されます。
②区への提示
「採用候補者名簿」から各区へ、得点が高い順に提示されます。
提示とは、合格者を区に推薦することです。
その際、原則として採用候補者が申込時に記入した第1希望の区へ提示されます。
当然、人気の区は定員以上に希望者が集中しますので、順位によっては希望どおりに提示されないことがあります。
受験生側で必要な作業は一切ありません。
③区からの連絡
区は②で提示された合格者に対して区面接の案内連絡をします(電話と郵送)。
合格者はここで、その区の面接を受けるか、辞退するか選びます。
なお、何も応答しない場合は採用候補者名簿自体から削除されてしまいます。削除されると、それ以降区面接の挑戦権が一切無くなるので、辞退する場合でも必ず連絡が必要です。
区面接の案内と一緒に、「面接カード」や「履歴書」も郵送されます。
ほとんどの場合、特別区二次試験の面接カードに書いた内容でカバーできます。
ただし、中にはそれ以上の内容を要求する区もあります。
特に大田区は例年、大枠の設問が7つほど用意されており面接当日までにしっかり書かなくてはいけません。
④区面接
③で案内があった日時、場所で区面接を行います。
原則、その区の本庁舎で行われます。
区面接は、ほとんどの場合個別面接1回のみですが、区によってはグループワークを課すところもあります。
この記事の後半で各区がどんな試験を行うのか紹介します。
⑤合格通知(採用内定)
区面接の結果、採用内定となった場合は区から採用内定連絡があります。
これでようやく採用内定になります!
その後は、内定式などの案内があります。
⑥辞退、⑦不合格
③で区からの提示を辞退した場合と④の区面接で不合格だった場合は、再び①に戻り、②~④までを繰り返します。
つまり、次の区からの面接案内連絡を待つことになります。
相当珍しいケースですが、欠員状況によっては提示されず、その結果、どこにも採用されない場合もあります。特別区採用試験に合格したのにもかかわらず内定無もあり得るということです。
したがって、できるだけ辞退せずに真摯に臨むことをおすすめします。
なお、経験者採用2級職ではこのループがありません!一発勝負です!
とはいえ、ほぼ意向確認の場という扱いですのでよっぽどのことがない限り不合格はありませんので安心してください。
区面接に関する疑問を解決!
どこの区から連絡がくるのか?

これは気になりますよね。できることなら希望区から連絡がきて欲しいものです。
結論から言うと、上位合格者から順に、受験申込の段階で書いた希望通りに各区へ提示されます。
人気の区に採用されるためには上位合格する必要があるのは、これが理由です。特別区の採用倍率は1類なら5倍~6倍ですが、上位合格して希望区に行くにはさらに倍率は跳ね上がります。
たとえば、一番人気のX区の採用予定人数は40人だったとします。合格者2000人のうち、200人がX区を第一希望にしていた場合、X区の倍率は単純に5倍ということになります。つまり、特別区採用試験の倍率に加え区面接の倍率も考慮すると、他の人気自治体をはるかに上回る倍率ということになります。
特別区が公表している倍率は「特別区採用試験の倍率」であり、「区面接の倍率」は考慮されていない点に注意が必要です。
もし区面接がだめだったらどうなるのか?

経験者採用2級職以外は区面接で不合格だった場合、次の区からの面接案内連絡を待つことになります。
それで合格ならその区に採用、だめならまた別の区から試験の連絡がくる。という繰り返しです。
特別区採用試験には合格しているので、よほどのことがない限りいずれどこかの区、もしくは組合には採用されます。しかし、毎年数人は採用漏れが発生しています。
チャンスは最大7回
区への提示は、全7回まであります。したがって、区面接のチャンスも最大7回まであるということです。
参考までに令和元年度の提示日程を載せます。※令和2年度はコロナ禍により試験が延期されたため、例年のスケジュールと大幅に異なるため割愛します。
- [1回目]令和元年 08 月 05 日
- [2回目]令和元年 10 月 07 日
- [3回目]令和元年 11 月 15 日
- [4回目]令和元年 12 月 12 日
- [5回目]令和 2 年 01 月 10 日
- [6回目]令和 2 年 02 月 03 日
- [7回目]令和 2 年 02 月 19 日
たとえば1回目の区面接で不合格だったならば、次の区から連絡がくるのは10/7以降だということです。
それまでは連絡がきません。
8/20に不合格通知が来た。9月後半になっても全く次の連絡がこない!どうしよう!といった受験生が毎年いますが、このスケジュールを見ると当然です。
次の提示は10/7なのでそれ以降にならなければ提示はありません。
したがって、スケジュールを知っていれば次の区から何日も連絡がこないという無用な不安をなくすことができます。
ただし、スケジュール通りに提示されるわけではない
ただし、このスケジュールの順番通りに提示されないこともあります。
たとえば、1回目の区面接で不合格だったとします。
すると、次回の提示は2回目の10/7〜…かと思いきやそうではない可能性があります。
2回目はどこにも提示されず、3回目の11/15〜に急にどこかの区から面接連絡が来ることもあります。
つまり、提示スケジュールを1、2個飛ばして次の提示スケジュールで連絡が来ることもある、と覚えておいてください。
次回の提示スケジュールを過ぎても、次々回以降で提示されることもあるので、最後まで諦めないことが重要です。
受験生にとっては今どういった提示状況なのかわからないので、正直にいって不親切な試験設計です。とはいえ、試験制度はどうすることもできませんので受け入れるしかありません。
たとえ区面接で不合格になったとしても、特別区採用試験に合格しているというのは事実ですので、自信を持って次の区面接に臨んでください。
希望じゃない区から連絡が来たから、辞退したい

オファーが来た区がよほど気に入らない等の事情がない限り、真摯に区面接に臨むことをおすすめします。
というのも、基本的にはあなたの希望と順位を考慮し、最も適切な区から順に電話がかかってきます。したがって、辞退すればするほど希望とはかけ離れた区から連絡がくることになる可能性が高いです。

ただし、実際には辞退する人は結構います。
本当に行きたくない区なら思い切って辞退する権利は当然あります。
採用されたら定年まではたらくことになる自治体なので、妥協できない気持ちはよくわかります。したがって、絶対に行きたくない区から連絡がきたら素直に辞退すべきです。
絶対に行きたくない区ではたらくのは苦痛でしょうし、区からしてもできるだけ希望に近い人を採用したいはずです。
特別区はそれぞれ全く違った特色がありますので、絶対行きたい区もあれば、絶対に行きたくない区もあるでしょう。その点はしっかりとした意志を持って臨んでください。
区面接の対策

ほとんどの区は個別面接を一度だけ行いますが、集団討論を課す区もいくつかあります。
人物中心の面接に加えて、その区についての知識を問われることが多いです。
したがって、その区に対する事前調査は必須です。
区に関する知識は、一般的な公務員試験の面接対策ではカバーできない細かい対策が必要です。区のホームページや区議会ホームページを見て、事前に対策しておくことが重要です。
また、各区評価基準が異なります。
ある区は大学新卒を優先、ある区は社会人経験がある既卒を優先、ある区は真面目な人物を評価、ある区は行動力がある人を評価…といったように、ばらばらです。各区の採用ページに求める人材像が載っているので、確認すると良いでしょう。
重要なのは、特別区採用試験の順位がいいからと言って有利になるとは限らないということです。
各区が求める人材≠特別区採用試験で上位の人材 なので、油断は禁物です。
区面接こそが本番
人気の区を受ける場合、区面接に呼ばれたからといってもまったく安心できません。
むしろ区面接が本番とも言えます。
なぜなら優秀な上位合格たちの中から勝ち抜く必要があるからです。
また、第一提示で大半の人数が内定しますので第一提示に命懸けで臨むことが求められます。
次で公開している各区の試験をよく確認し、万全な対策をして臨みましょう。
各区の試験について公開!
公にされていませんが、合格者たちから聞いた過去の試験実績をここだけでお教えします!
例年同じ内容なので、希望区の内容を把握しておきましょう。特に集団討論がある区は対策が必須です。
区 | 例年の試験内容 |
---|---|
足立 | 個別面接 |
荒川 | 個別面接 |
板橋 | 個別面接 |
北区 | 個別面接 |
品川 | 個別面接 |
渋谷 | 個別面接 |
新宿 | 個別面接 |
世田谷 | 個別面接 |
台東 | 個別面接 |
千代田 | 個別面接 |
練馬 | 個別面接 |
港区 | 個別面接(若手職員との面談もあり) |
目黒 | 個別面接 |
墨田 | 個別面接+職員と1対1で面談 |
豊島 | 個別面接+集団討論 |
大田 | 個別面接+集団討論 |
葛飾 | 個別面接+集団討論 |
江東 | 個別面接+集団討論 |
文京 | 個別面接+集団討論50分 |
杉並 | 個別面接+プレゼン・集団討論 |
中央 | 個別面接+集団討論 |
中野 | 個別面接 |
個別面接だけではなく、集団討論もある区は非常に対策が難しいです。
とはいえ、集団討論はコツさえつかめば一気に上達して他の受験生と差をつけることができます。
対策方法
基本的に面接も集団討論も、公務員として相応しい心構えができているのか問われています。
2次試験の対策記事でも書きましたが、口述試験の質問は大きく次の2種類に分かれます。
①あなたならではの回答ができる質問
②答えがほぼ決まっている質問
①は十人十色の回答が期待できますので、あなたの個性をしっかりと伝えることができます。
一方で②のような質問は公務員としての資質を問われます。たとえば、
「能力以上の仕事を任せられたらどうしますか?」
「上司と意見が対立したらどうしますか?」
「クレーマーにどう対処しますか?」
といった質問。いかがでしょうか?人によって個性がでる回答ではなく、公務員としてどういった対応をすべきか正解が決まっていることが分かるかと思います。集団討論のテーマとしても頻繁に使われます。
こういった質問は「正解」を「知っているか知らないか」の勝負になってしまいます。いわば、口述試験における「知識問題」です。
こんな質問では受験生の個性をみることはできないにも関わらず、面接官からすれば「できて当然」というスタンスです。いくら魅力的な振る舞いができていても、知識問題で満足いく回答ができなければ即アウトです。
面接は受験生の個性を見極める場のはずですが、なぜこのような知識問題が重視されるのでしょうか?
それは、どれだけ真剣に対策してきたのか確かめるためです。
面接カードを仕上げるのは当たり前で、こうした基礎知識も漏れなく押さえているかどうかで本気度をチェックしています。
1万人受験すれば1万通り答えがある質問とは違い、求められる正解が確かにあります。時間をかけてもクオリティが上がるわけではないので、こうした質問は解答集をつかってサクッと対策するのが最も効率的で間違いありません。

まとめ
区面接は特別区独自の採用方式ですので、対策はしっかりしておきましょう!
ほとんどの場合、特別区2次試験とほぼ同じことを聞かれるので、面接力を衰えさせないことが重要です。
したがって、答えが決まっている知識問題は確実に対策し、その上で区独自の研究を深めていくことが求められます。
内定まであと一歩、油断せず、妥協せずに全力を尽くして合格を勝ち取ってください!