特別区に採用されるには「特別区採用試験」に合格したのち、それぞれの区で行われる「区面接」にも合格する必要があります。
そこで気になるのが、区面接の結果、どこの区からも内定がもらえず「採用漏れ」になる可能性はあるのか?ということ。
せっかく苦労して特別区採用試験に合格したのに、採用漏れになるのはあまりにも悲しすぎますよね?
結論から言うと、採用漏れはあります。
なぜならば、次の通り公式で採用漏れについて言及しているからです。
ただし、欠員状況によっては提示されず、その結果、採用されない場合もあります。最終合格が採用内定ではないことにご注意ください。
出典:特別区人事委員会採用試験情報 合格発表(https://www.union.tokyo23city.lg.jp/jinji/jinjiiinkaitop/gokakuhappyo.html)
ここでいう最終合格とは、「特別区採用試験」の最終合格を指します。
つまり、特別区採用試験の2次試験(面接)まで合格できたとしても、その後の区面接では採用漏れがあり得るということです。
※ 「経験者採用(2級・3級)」と「障害者採用」は上記声明がないため採用漏れはないと考えられます。
当然ながら、区面接で落ち続けると採用漏れになる確率は高まります。
したがって区面接には万全の対策で挑むことが重要なのですが、意外にも油断して対策をおろそかにする人が多い印象です。
そこで今回は、「採用漏れに至るケース分析」と「区面接で落ちないために気を付けるべきこと」をお伝えします。
特別区の区面接で落ちて、採用漏れになるケース
まずは、どんなケースで採用漏れになるのか見ていきましょう。
特別区採用試験に合格した後に待ち受ける、各区面接から各区面接の合格(内定)までの流れについておさらいします。
流れとしては次の図の通りです。
まず、特別区採用試験の最終合格者は①採用候補者名簿に登録されます。
その後、上位合格者から順に、受験申込の段階で書いた希望通りに各区へ提示されます。
提示とは、合格者を区に推薦することです。推薦された区は、原則、その受験生を区面接に招待することになります。
採用漏れケース1.辞退が多い
基本的にはあなたの希望と順位を考慮し、最も適切な区に提示されます。
当然、人気の区は定員以上に希望者が集中しますので、順位によっては希望どおりに提示されないこともあります。
しかし希望区ではないからといって辞退し続けると、どこの区も欠員(採用予定人数)が埋まり、結果、採用漏れとなってしまうことがあります。
したがって、オファーが来た区がよほど気に入らない等の事情がない限り、真摯に区面接に臨むことをおすすめします。
採用漏れケース2.区面接の対策をおろそかにする
特別区採用試験に合格したからといって、区面接は楽勝かと言われると全くそんなことはありません。
特に人気区は、区面接こそ本番と言っても過言ではありません。
第一希望の区から区面接のオファーが来ると、内定したも同然だと思い込む受験生が多くいらっしゃいます。
経験者採用(2・3級)であれば区面接はほぼ意向確認なのでこの認識で間違いないですが、Ⅰ類、経験者採用(1級)、氷河期採用は区面接の倍率も高いので、本気で臨まなければもちろん落ちます。
また、特別区採用試験に合格したという精神的余裕と、併願の場合は他の公務員試験に時間を割かれているという状況から、区面接の対策はついおろそかにしてしまいがちです。
そういった受験生は特に注意が必要です。
区面接で不合格が続くと、どこの区も欠員(採用予定人数)が埋まってしまい、結果、採用漏れとなってしまいます。
せっかく特別区採用試験に合格したのに、区面接で油断したから採用漏れになってしまうのはあまりにも悲しいですよね。
区面接を本気で対策してくる受験生と、手を抜いてしまう受験生の差はハッキリでますので、油断せず万全の対策が必要です。
採用漏れケース3.辞退の連絡をしない
受けたくない区から連絡がきたとき、辞退する権利はもちろんあります。
しかし、辞退するには「提示区辞退届」というものを送付しなければなりません。
詳しい提出方法は公式サイトに載っています。
https://www.union.tokyo23city.lg.jp/jinji/jinjiiinkaitop/documents/r5ichiruisaiyoukohoshanominasamahe.pdf「提示区辞退届」は封書で提出しなければならないので、正直メンドウです。
しかし、これを出さなければ次の区からの連絡が来ません。
「応答なし」ということで採用候補者名簿から削除されることもありますので十分注意してください。
なお、「辞退届を出さずに惰性で受ける」、「面接練習のためにとりあえず受ける」というのは絶対に避けてください。
なぜならば、もし内定をもらうことができたら、そこで区面接は終了になるからです。
内定を辞退すれば再び次の区から連絡がくる、というようなことは無いので十分注意してください!
区面接で落ちる人の特徴と、落ちないための対策
区面接を特別区採用試験の延長だとみなしている受験生はやや注意です。
というのも、「各区が求める人材 ≠ 特別区採用試験で上位の人材」、つまり特別区採用試験の順位がいいからと言って有利になるとは限らないからです。
したがって、特別区採用試験の延長として同じ対策をしていると痛い目を見る可能性があります。
特別区は各区独立した自治体なので、欲しい人材も評価基準も当然、異なります。
その証拠に、区面接でグループディスカッションを課す区もあれば、面接カードをビッシリと書かせる区もあり、多種多様です。
では、どう対策したらいいかというと、やはり「その区に対して徹底的に研究する」ことに尽きます。
実際に区を散歩してみたり、区報をもらって読んでみたり、区議会ホームページを覗いてみたり、細かいことですが、そういった積み重ねが非常に大事です。
区面接でも、「区を訪れたことはありますか?」「区を歩いてみて課題はなんだと思いましたか?」といった質問がされることがあります。
また、各区が定めている「基本構想」には必ず目を通してください。
基本構想とは自治体の進むべき方向を定めるもので、自治体の憲法といえるものです。
区のホームページに必ず載っているので、区面接を受ける前には一読してください!読んだと読まないとでは圧倒的な差がつきます。
落ちる受験生は総じて区への理解が足りません。
表面的なイメージや知識でやり過ごそうとしていますので、当然それは面接官に伝わります。
特別区の区面接で落ちて採用漏れにならないためのまとめ
特別区採用試験に合格したからといって、油断はできません。
とりわけ人気区は区面接こそ最大の難所ともいえるので、万全な対策が必要です。
区面接は長きにわたる試験の最終段階です。併願の場合は他の公務員試験も忙しいかと思います。しかし、せっかく勝ち取った合格です。採用漏れにならないためにも、しっかりと区の研究を行いましょう!