希望区選びの基準のひとつとして待遇の良さがあるかと思います。
たとえば、
「趣味に没頭したいから有給消化しやすいところがいい」
「地方から就職するので職員住宅に住んで家賃を抑えたい!」
「頑張れば頑張った分だけ評価されたい!」
などなど。
実は、特別区の間でも、有給消化率や職員住宅の配備状況には大きな差があります。
当然ながら職員になった後に知っても手遅れな情報ばかりです!
したがって、今回は特別区の有給消化率・職員住宅について徹底比較したいと思います!
※分析には各区が公表している「人事行政の運営状況等の資料」を使用。
有給休暇取得日数ランキング

まずは、気になる方が多いと思われる有給休暇取得日数ランキングです。

※各区の人事行政の運営等の状況報告より。練馬区と足立区はデータ無しのため未掲載。
比較のために、東京都と大規模企業(労働者1000人以上)のデータも載せています。(出典:令和2年就労条件総合調査)
区によってバラツキはありますが、特別区は全体的に非常に優良です。
ここまで有給休暇取得できる就職先はほとんどありません。データがある区はすべて大規模企業平均よりも高い消化率になっています。
企業の実質有給消化率はさらに低い
企業の「実質」有給消化率はさらに低いです。
というのも、有給消化実績をあげるために祝日がある週の土曜日を出勤日にして、無理やり土曜日に有給を使わせることが多いからです。
民間企業経験のある方にとって「あるある」のからくりだと思います。
少し詳しく説明しますが、特別区職員になるにあたっては不要の知識ですので、読み飛ばして頂いても大丈夫です。
…さて、からくりについて解説します。
上場企業はほとんどが完全週休二日制です。週休2日以上が保証されています。
逆に言えば企業としては週休2日さえ保証すればいいのです。
ということは、祝日がある週のように週休が3日以上できる週は、土曜日を出勤日に設定することもできます。祝日と日曜で週休2日が確保されているからです。
そして、土曜出勤日を有給消化奨励日にすることで社員に(無理やり)有給消化をさせます。こうすることで、社員を最大限働かせつつ有給消化実績も上げることができます。
民間企業はこんなインチキじみたことも平然と行っています。
特別区の実質有給消化率はさらに高い
一方、特別区の職員はカレンダー通り土日祝休みです。
しかも、いくつかの区では有給休暇の他に、2日ほど追加で回復職免が使えます。これは職員以外ほとんど知られていないのではないでしょうか?
回復職免とは、ほぼ有給と同じものです。毎年職員に2日ほど付与されます。つまり、回復職免制度がある区は年間の有給が実質22日もあることになります。
回復職免は来年度に持ち越せないため、有給より優先的に使われます。そして回復職免は有給消化実績には反映されないので、実質の有給消化率はさらにあがると思われます。
以上のようにワークライフバランスを考えればこれほど優良な職場は滅多にありません!
職員住宅はあるか?

特別区は東京の都市部に位置していますので、職場の近くに住もうとすると家賃がかなりネックになります。
実家通勤ならまだしも地方から来た方にとってはかなり負担が大きいですよね。
実はいくつかの区では職員住宅を提供しており、職員は安価な家賃で住むことができます。若手職員にとっては非常にありがたいですよね。
そこで、職員住宅について公表している区のデータをまとめました。
職員住宅計 | 単身用 | 世帯用 | |
---|---|---|---|
千代田区 | 77 | – | – |
中央区 | 110 | 41 | 69 |
港区 | 186 | 95 | 91 |
文京 | 54 | – | – |
台東区 | 84 | 49 | 35 |
墨田区 | 39 | 33 | 6 |
目黒区 | 56 | 49 | 7 |
大田区 | 109 | 109 | – |
世田谷区 | 179 | 165 | 14 |
中野区 | 18 | 11 | 7 |
杉並区 | 59 | – | – |
このように、かなり多くの区で職員住宅が配備されているようです。ただし、2点注意があります。
まず1点目は、職員住宅は防災用住宅と兼用になっているケースがほとんどだということです。
防災用住宅とは、住んでいる職員が災害時にすぐに駆け付けることや防災訓練への参加を義務付けられている住宅です。

安く住めるのはいいですが、訓練への参加はかなり大変でした…
また、地域活動への参加も義務つけられていることがほとんどです。
単純に職員の福利厚生のためだけの住宅だと、税金の無駄遣いということでバッシングを受けるので防災用として供給しているという事情もあります。したがって、義務があっても問題ない職員のみ住むことが許されます。
ただ、それでも職員住宅は人気です。あなたが入区しても空きがなかったり、空いたとしても競争率が高い可能性があります。
したがって、2つ目の注意点は職員住宅に入れる可能性が低いということです。
もし職員住宅を目当てに志望しても、実は全然入れなかった、ということもありますので注意が必要です。
公表していない区でも防災用住宅はほぼ必ずある
公表されていなくても、防災用住宅はほぼ必ずどの区にもあります。戸数が少ないのか、そもそも防災用住宅なので職員住宅としてカウントしていないのか、戸数は明らかにはされていません。
住居手当は23区全体で統一額
自ら賃貸住宅を借りている特別区職員には以下の通り住居手当が支給されます。23区どこの区の職員でも同じ条件ですし、同じ額が支給されます。違いはありません。
<対象者>
世帯主等で自ら居住するための住宅を借り受け、月額 27,000 円以上の家賃を支払っている者
<支給要件>
・独立した世帯を形成している
・主としてその収入によって生計を維持している
・公舎等に入居していない
<支給額>
・27歳以下 27,000 円
・28 歳~32 歳まで 17,600 円
・33歳以上 8,300 円
ちょっと安い気がしますよね・・・。しかし年齢制限なく支給され続けることができるのは非常に珍しいです。

住宅手当は少なめですが、特別区はどこもアクセス良好なので探せば手ごろな賃貸が必ず見つかりますよ!
まとめ
今回の記事は職員になってから気になる有給消化率などについて分析しました。区によってかなり差がでるテーマばかりだったので、今回の記事を参考にしつつ希望区を考えていただければ幸いです。
ぜひ特別区の合格を勝ち取り、安定した公務員ライフをおくりましょう!
ただし、特別区に合格するためには論文・面接を避けては通れません。
なぜならば、特別区は論文・面接の配点が異常に高いことで知られているからです。

この通り、教養・専門の点数がどれだけあっても簡単に逆転が起こります。
したがって、特別区に特化した論文・面接対策を取ることが非常に重要です。万全の対策をして、確実に合格を掴みましょう!