この記事では、いわゆる一般的な公務員である「事務職」の特別区経験者採用試験の内容と対策についてお伝えします。
なお、特別区経験者採用試験は、以下の自治体・組合の公務員になりたい方が対象です。
- 千代田区
- 中央区
- 港区
- 新宿区
- 文教区
- 台東区
- 墨田区
- 江東区
- 品川区
- 目黒区
- 大田区
- 世田谷区
- 渋谷区
- 中野区
- 杉並区
- 豊島区
- 北区
- 荒川区
- 板橋区
- 練馬区
- 足立区
- 葛飾区
- 江戸川区
- 特別区人事・厚生事務組合
- 特別区競馬組合
- 東京二十三区清掃一部事務組合
(年度によっては採用予定がない区もあります)
「社会人経験者採用って倍率が高くて難しいんでしょ?」
多くの方はそう思います。
しかし、 「特別区の経験者採用」に限ってはむしろ逆です。
政令指定都市や都道府県庁の倍率は20倍、40倍にも上る一方、特別区は驚くほど低倍率が続いています。(参考までに、令和4年度のさいたま市民間企業等経験者採用は42.7倍でした!)
実際に過去の倍率を見てみましょう。
年度 | 特別区経験者1級職 | 特別区経験者2級職 |
---|---|---|
令和4年度 | 6.0 | 7.9 |
令和3年度 | 7.6 | 12.9 |
令和2年度 | 8.0 | 14.2 |
いずれも極めてゆるやかな倍率です。
特別区は毎年大量に社会人経験者採用を行っていますので、非常に人気であるにも関わらず、低倍率の売り手市場が続いているのです。
さらに令和5年度は過去最高レベルに採用人数が増えましたので、倍率が大幅に下がることが予想されます!
経験者優遇の傾向は今後も続くと思われますので、公務員への転職希望者にとって最高の穴場となっています。
さて、そんな特別区経験者採用試験ですが、少し変わった採用方式をとっています。
というのも、特別区(東京23区)はそれぞれ独立した自治体ですが、職員採用試験は一括して行っているのです。
たとえば、
「千代田区の職員になりたい!」
「世田谷区で公務員としてはたらきたい!」
といったように、23区のどこかの公務員になりたい場合、まず一括試験である「特別区経験者採用試験」に合格する必要があります。
その後に、各区独自の面接試験を受け、合格すれば採用内定という流れになります。
今回はそんな、(ちょっとわかりづらい)特別区採用試験の経験者採用と対策について徹底解説します!
- 年齢制限実質なし(59歳以下が対象)
- 社会人経験年数が必要(最低4年間)
- 教養試験、職務経歴論文、課題式論文、面接試験が試験科目
- 特別区経験者採用試験に合格した後に、各区の試験がある
- 希望の区に採用されるには、上位合格を目指す必要がある!
- 教養試験は足切りだけ
- 1次試験は論文の配点が非常に高い
☆論文と面接対策が非常に重要!
☆ちなみに31歳以下でしたら、Ⅰ類採用試験も受験可能です。ただし経験者採用と併願できませんので、どちらか選んで受験することになります。
特別区経験者採用試験(事務職)の2つの採用区分と受験資格

特別区の経験者採用は、職務経験年数に応じて次の2つの区分が設けられており、それぞれ受験資格が異なります。
※厳密に言うと3級職もありますが、児童職以外での募集は無いので割愛します。
どちらも試験日程はまったく同じで、試験内容もほぼ同じです。
ただし、採用人数と応募条件が違いますので当然、記事冒頭で示したとおり倍率は異なります。
さて、1級職、2級職といわれても何のことかピンとこないかと思うので解説します!
次の図をご覧ください。

通常、採用されたら係員(1級職)からスタートしますが、2級職採用の場合はいきなり主任からスタートできます。

本来ですと主任になるには在職年数と(面倒な)昇任試験に合格する必要があります。
しかし2級職採用ならば、それらを飛ばしていきなり主任になれます!
一方、経験者1級職採用の場合は職歴3年目として採用されます。
したがって、新卒採用よりも給料ベースが高い上に、昇任試験を早く受験できるというメリットがあります!
受験資格
以下の年齢制限、職務経験年数の両方を満たす人が対象です。
年齢制限
1級職、2級職ともに採用年の4月1日時点で59歳以下の人。
たとえば、令和5年度に試験を受験する場合、就職する2024(令和6年)年4月1日時点で59歳ならば受験できます。逆に、受験時に59歳でも翌年の4月1日までに60歳になる方は、受験できません。受験時の年齢ではないのでご注意ください。
職務経験年数
会社員又は自営業者等としての職務経験が必要です。
必要年数は以下の通りです。
職務経験には、特別区以外の地方公共団体や、国家公務員として働いた期間も業務従事歴に該当します。
一方で、大学院の在学期間は業務従事歴に該当しません。

多くの自治体では公務員としての職歴は考慮されませんが、特別区はしっかりと考慮されます!
したがって、公務員から公務員へ転職を希望する方にとって大変有力な転職先になります!
そのほか、「これって業務従事歴に含んでいいの?」などといった細かな疑問は、特別区の採用公式ページの経験者採用試験・選考Q&Aをご覧ください!
特別区経験者採用試験の独特な採用システムについて解説

採用内定までの流れについて解説します。
ざっと簡略化すると、採用までに以下5ステップが必要です。
1級職採用も2級職採用も同じ流れです。参考までに令和5度のスケジュールを載せています。
- 特別区採用試験の受験申込(6/22~7/13)
- 特別区採用試験を受験(1次:9/3、2次:10/28~11/5)
- 特別区採用試験に合格(11/17)
- 区面接の受験(11/17〜)
- 区面接の合格(内定)
ご覧いただければわかる通り、「特別区採用試験」と「各区面接」の2段階に試験が分かれています。
冒頭でも触れましたが、特別区職員採用試験に合格しただけでは、まだどこの区の職員になるかは決まっていません。
その後の区面接に合格してはじめて採用内定になります。
では、令和5年度のスケジュールを基に採用内定までの流れを見ていきましょう。
- 6/22試験・選考案内・申込書の配布開始日
- 6/22~7/13受験申込
原則インターネット申込。行きたい区を第1希望~第3志望まで書く。また、この段階で「職務経歴書」を提出する。
- 9/31次試験
試験 時間 内容 教養試験
(五肢択一式)105分 【1級職】35題解答
(30題必須解答、15題中5題選択解答)
【2級職】35題解答
(32題必須解答、12題中3題選択解答)職務経験論文 90分 課題式(1題必須解答)
1200~1500字課題式論文 90分 課題式(2題中1題選択解答)
1200~1500字 - 10/201次試験合格発表
合格通知に2次試験の試験日、集合時間および試験会場が載っている。
- 10/28~11/52次試験
個別面接(人物及び職務に関連する知識等について)。
いわゆる人事院面接。 - 11/17合格発表
- 11/17~区面接
合格順位、希望区等を考慮し、特定の区から面接の連絡がある。
※自分で面接を受けたい区を選ぶことはできない。 - 採用内定
受けた区から採用内定連絡がくればおしまい。
このように、特別区採用試験を受験して合格したあとに、各区の面接試験が始まります。
国家公務員試験の官庁訪問のように、自分からどの区を受けるか選ぶことはできません。
合格順位と受験申込のときに書いた希望区を考慮して、もっとも適切な区が選ばれ、その区からあなたのもとに面接の連絡がきます。
そして、その区の面接を突破すれば採用内定になります。

もし区の面接で残念な結果になったとしても、次に適切な区からまた面接案内の連絡がきます
その面接で合格すれば採用内定、だめならその次の区から面接案内がくる…この繰り返しです。
区面接については詳しく書けば長くなるので、次の記事で解説しています。
2級職採用試験の場合、区面接は一発勝負!
経験者1級職採用とは違い、2級職採用の区面接は一発勝負なので注意が必要です。
しかし、ほぼ意向確認の場なので、不合格になることは滅多にありません。自信をもって臨んで大丈夫です!
特別区経験者採用試験(事務職)の倍率

特別区は大変人気の自治体ですが、採用人数が多いので倍率はかなり低めです。
有名民間企業の中途採用倍率が平気で数十倍、数百倍に達することを考えると完全に売り手市場といえます。
年度 | 特別区経験者1級職 | 特別区経験者2級職 |
---|---|---|
令和4年度 | 6.0 | 7.9 |
令和3年度 | 7.6 | 12.9 |
令和2年度 | 8.0 | 14.2 |
知っておくべき倍率のひみつ
ただし、この倍率にはひみつがあります!実質倍率はさらに下がります。
次の表は、令和4年度の経験者1級職採用の試験実施結果です。
年度 | 区分 | 申込者 | 1次試験受験者 | 1次試験合格者 | 2次試験受験者 | 最終合格者 | 倍率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
令和4年 | 事務 | 1,702 | 1,287 | 436 | 424 | 215 | 6.0 |
さて、最終倍率が6.0になっていますがこれは「1次試験受験者 ÷ 2次試験合格者」で算出されています。
ここで、「1次試験合格者」と「2次試験受験者」をみてください。1次試験合格者のうち12人が2次試験を辞退していることがわかります。
実は、公表されている倍率にはこの辞退者までふくめて計算されているのです!
したがって、実質の倍率はさらに下がります。
これが正確な倍率だ!
では、正確な倍率はどのくらいになるのでしょうか。
「各試験の受験者数÷各試験の合格者数」で正確な倍率を算出できます。
すると、次の通りになります。
【1級職】
年度 | 1次試験倍率 | 2次試験倍率 |
---|---|---|
令和4年度 | 3.0 | 2.0 |
令和3年度 | 4.1 | 1.8 |
令和2年度 | 4.0 | 1.9 |
【2級職】
年度 | 1次試験倍率 | 2次試験倍率 |
---|---|---|
令和4年度 | 3.2 | 2.4 |
令和3年度 | 4.8 | 2.6 |
令和2年度 | 4.7 | 3.0 |
これで正確な倍率になりました!
1次試験が山場であることが分かります。
しかも2次試験の合否は1次試験の論文の成績を加味して行われます。
したがって、論文は合否に直結する勝負どころといえます。
希望区に行くには倍率が一気に上がる
公表されている倍率はあくまで「特別区採用試験の倍率」です。
その後の区面接の倍率は含まれていません。
区面接でも当然合格不合格はあります。
特に、人気区の場合は区面接が本番だと言っても過言ではありません。
たとえば、一番人気のX区の採用予定人数が40人だったとします。
合格者2000人のうち、200人がX区を第一希望にしていた場合、X区の倍率は単純に5倍ということになります。つまり、特別区採用試験の倍率に加えてこの5倍も考慮すると、他の人気自治体をはるかに上回る倍率ということになります。
したがって、区面接を考慮すると倍率は跳ね上がります。
公表されている特別区採用試験の倍率は「どこでもいいからとりあえず、どこかの区に採用される倍率」ということです。
希望する区に採用されるには、上位合格して区面接の挑戦権を得ることが必要なので、万全の対策が必要です。
絶対に知っておくべき特別区経験者採用試験の特徴と試験対策!

特別区Ⅰ類と特別区氷河期採用とは併願ができない
試験案内にも明記されていますが、「特別区Ⅰ類採用試験」と「就職氷河期世代を対象とする特別区採用試験」とは併願ができませんのでご注意ください。
希望の区に採用されるためには上位合格する必要がある!
特別区と一言にいってもまったく別の魅力や特徴があります。
例えば港区と葛飾区は趣が全然違いますし、渋谷区と千代田区は雰囲気が真逆です。
ですが、どちらも特別区です。どちらの職員になるにしてもこの特別区職員採用試験を突破する必要があります。
希望の区に採用されるには特別区職員採用試験で上位合格することが必要です。
特別区職員採用試験自体はそこまで合格難易度が高くありませんが、上位合格して希望の区への採用を目指す場合、一気に難易度は跳ね上がります。
したがって、職務経験書から面接まで万全の対策をする必要があります。
教養試験は足切りのみ。論文の成績が合否判断
1次試験の教養試験は足切りにしか使われません。満点だろうがボーダーギリギリだろうが合格判断には使われないことが明記されています。
職務経歴論文、課題式論文、面接の成績が合格判断に使われるので、教養試験よりも論文、面接に注力するのが正しい戦略といえます。
申し込み時点で職務経歴書を書く必要がある
ここは非常に重要なポイントですが、申し込み段階で「職務経歴書」を書かなければいけません。
個人情報や経歴のほかに、職務経歴書の入力が求められます。
この職務経歴書、ただの履歴書かと思いきや、詳細な志望動機や自己アピールポイントなども書く必要があります。
しかもここで書いた内容が面接試験で使われます!

したがって、急いで作った粗がある職務経歴だと、面接の際に非常に困ります!
受験申込開始から〆切まで期間はありますので、焦らずじっくりと、面接を見据えて記入することが重要です。
当然ですが、早く提出したからといって評価に影響することはありません。
設問は全部で4問。
例年ほぼ同じなので、今のうちに考えておくといいかも知れません。
- あなたが特別区職員を志望する理由を、あなたのこれまでの職務経験や専門知識を踏まえ、携わりたい職務と、その職務を通じて実現したいことを交えて入力してください。(320文字以内)
- あなたが、特別区が求める「自ら考え行動する人材」に当てはまる人物であることを、今までの職務経験をもとに入力してください。(320文字以内)
- 今までの職務経験の中で失敗の許されない状況に直面した際、それをどのように解決に導いたか入力してください。(320文字以内)
- 【1級職】今までの職務経験の中で、あなたがチーム(組織)として達成したことを、あなたのチームにおける役割や、どのようにチームに貢献したかを交えて入力してください。 (320文字以内)
【2級職】今までの職務経験の中で、あなたが部下や後輩の指導・育成にあたった際、最も重視した点を入力してください。 (320文字以内)
なお、1問目の質問だけ令和5年度から若干文言が追加されています。
太字アンダーバーが追加されました。
職務経験や専門知識を書くことが必須となりましたので、注意が必要です!
職務経歴書のおすすめ対策はやはりコアテキストです。特別区経験者採用のバイブルなので必ず入手しておきましょう。
特別区経験者採用試験(事務職)の第1次試験の傾向と対策

教養試験
一般的な公務員試験とほとんど変わらないスタンダードな科目です。
特別区Ⅰ類採用(大卒程度)試験と出題範囲は同じですが、難易度はかなり低めです。
したがって、「地方初級(高卒程度試験のこと)の過去問題集」もしくは「特別区Ⅰ類採用の過去問集」を使って対策するのがいいでしょう。
「地方初級の過去問題集」は最低限の労力で対策ができるため、時間が無い方はこちらで十分でしょう。おすすめは定番の「過去問350」です。
一方で特別区は、過去問や他の試験区分から問題を借りてくることが非常に多いので、「特別区Ⅰ類採用の過去問集」はよい対策になります。
こちらも定番の「過去問500」がおすすめです。Ⅰ類のレベルに慣れると教養試験は楽勝になりますので、高地トレーニングのような感覚で実力をつけることができます。
「高卒程度の過去問題集」を解き、余裕がある方は「特別区Ⅰ類採用の過去問集」で対策するのがよいでしょう。
まずは過去問で感覚をつかみ、その上で参考書で補強する流れが鉄板です。
ただし教養試験は足切りにしか使われませんので、高得点を取っても意味がありません。
論文の点数で勝負が決まりますので、教養対策はほどほどにし、論文に注力するのがベストな戦略といえます。
職務経歴論文
- 時間:1時間30分
- 1題必須解答
- 1,200 字以上 1,500 字程度
おそらく、今までの人生で書いたことがないジャンルの論文だと思います。
過去の出題は以下の通りです。
【2023年】
ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた職場での取組について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて採用区分※における立場として論じてください。
出典:特別区人事委員会採用試験情報 試験問題の公表(https://www.union.tokyo23city.lg.jp/jinji/jinjiiinkaitop/shiryo/shikemmondai/index.html)
【2022年】
職場の活性化について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて採用区分※における立場として論じてください。
出典:特別区人事委員会採用試験情報 試験問題の公表(https://www.union.tokyo23city.lg.jp/jinji/jinjiiinkaitop/shiryo/shikemmondai/index.html)
【2021年】
仕事における目標設定と振り返りについて、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて採用区分※における立場として論じてください。
出典:特別区人事委員会採用試験情報 試験問題の公表(https://www.union.tokyo23city.lg.jp/jinji/jinjiiinkaitop/shiryo/shikemmondai/index.html)
※ 採用区分とは、 1 級職は係員の業務を行う職、 2 級職(主任)は係長職への昇任を前提とした係長職を補佐する職、 3 級職(係長級)は係長、担当係長、主査又はこれに相当する職とする。
2020 仕事の優先順位について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて採用区分における立場として論じてください。
2019 職務上のトラブル対応について、あなたのこれまでの職務経験を 簡潔に述べてから、その経験を踏まえて論じてください。
2018 職務を進める上での課題解決に向けた取組について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて論じてください。
2017 業務執行上のリスク対応について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて論じてください。
2016 職場における創意工夫について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて論じてください。
過去の傾向から、「仕事への考え方」「仕事への姿勢」が問われます。
「職務経歴」論文なので、これまでのあなたの職務経歴をアピールしつつ、論題について客観的に述べる必要があります。
ありがちなのが、エントリーシートの自己PR欄みたいに書いてしまうこと。
あくまで論文なので、テーマについて客観的に論じる必要があります。
つまり職務経験から得られた示唆・学びを抽象化して、一般論的な案に落とし込んで論じる必要があります。
一見難しそうですが、型をインプットすれば意外とスラスラ書けるようになります。
職務経歴書の書き方についてはこちらの定番テキスト一本で間違いありません。

あとは書けば書くほど整った文章を短時間で書けるようになるので、練習あるのみです!
課題式論文
- 時間:1時間30分
- 2 題中 1 題選択解答
- 1,200 字以上 1,500 字程度
経験者採用の山場ともいえるのが課題式論文です。
上位合格して希望区に行きたいなら論文ができるのは当たり前で、さらに高得点を取らなくてはなりません。万全の対策が必要です。
また、面接が苦手な方は、論文で稼げるだけ稼ぐ戦略が必要でしょう。
では、さっそく過去の出題例を確認しましょう。
2 題中 1 題を選択すること。
出典:特別区人事委員会採用試験情報 試験問題の公表(https://www.union.tokyo23city.lg.jp/jinji/jinjiiinkaitop/shiryo/shikemmondai/index.html)
1 シティプロモーションについて
2 複雑化・多様化する区民ニーズへの対応について
2 題中 1 題を選択すること。
出典:特別区人事委員会採用試験情報 試験問題の公表(https://www.union.tokyo23city.lg.jp/jinji/jinjiiinkaitop/shiryo/shikemmondai/index.html)
1 インターネットを活用した誰もが利用できる行政手続に向けた取組について
2 持続可能な財政運営と区民サービスについて
2020
1 住民意識の多様化と自治体職員の役割について
2 若者の区政参加と地域の活性化について
2019
1 組織力の向上について
2 地域コミュニティの活性化について
2018
1 行政運営の効率化と信頼性の確保について
2 区民への情報発信のあり方について
2017
1 区政運営における区民との協働について
2 最少の経費で最大の効果を生む区政運営について
2016
1 区民ニーズの把握と施策への反映について
2 グローバル社会の進展に伴う行政運営のあり方について
テーマが2つ提示されますので、そのうち一つを選択して論述することになります。
論文の配点があまりに高いので、テーマを複数用意することで受験者のリスクを分散したい意図があります。
過去の傾向から「行政課題」「行政と地域のかかわり」「行政運営のありかた」が問われます。
これらは細かい意識や法令を知らなくても論述できる一方で、行政とはどうあるべきか、しっかりと理解して考えを述べる必要があります。
とはいえ、どう対策したらいいかハッキリと分からないかと思います。
論文はまともに向き合うと非常に難しいうえに、点数が安定しない科目ですし、出題テーマを知っているかどうか、イチかバチかで合否が決まってしまうこともあります。
そうした事情もあり、特別区受験生は模範解答を使って勉強するのがメジャーとなっています。
模範解答は、やはり定番のこれで間違いないでしょう。掲載テーマの豊富で、評価がとても高いので、これ一つでほぼ対策できてしまいます。

他にも寺本さんの論文バイブルもおすすめです。ただし、特別区の事情とはややズレている印象です。国家や県庁を併願する場合はこちらも買っておいて損はないかと思います。
模範解答を使うも使わないもあなたの自由ですが、模範解答は貴重な勉強時間と労力を別の勉強に投資できるので、非常に有力な選択肢だと言えます。
大幅に勉強時間を削減しつつ、勝てる論文を安定して書くことができるようになるのでお勧めです。
特別区経験者採用試験の第2次試験対策方法

個別面接
第2次試験は個別面接一発勝負です。
人物、職務経験及び職務に関連する知識等について問われます。
Ⅰ類採用、氷河期採用と違い職務経歴と職務知識についても問われます。
面接官は専門スキルを持った人間ではなく特別区の職員なので、自身の職務について、専門外の人にも分かるよう伝える能力を磨いておく必要があります。
1級職の場合
職務経歴書に書いた内容をもとに面接が進められます。
- あなたが特別区職員を志望する理由を、携わりたい職務と、その職務を通じて実現したいことを交えて記入してください。(320文字以内)
- あなたが、特別区が求める「自ら考え行動する人材」に当てはまる人物であることを、今までの職務経験をもとに記入してください。(320文字以内)
- 今までの職務経験の中で失敗の許されない状況に直面した際、それをどのように解決に導いたか記入してください。(320文字以内)
- 今までの職務経験の中で、あなたがチーム(組織)として達成したことを、あなたのチームにおける役割や、どのようにチームに貢献したかを交えて記入してください。 (320文字以内)
これらは申込み時に提出しているものなので、何を書いたか忘れてしまっている人も少なからずいらっしゃいます。
しかし内容を面接までに必ず見返して、どんなことを書いたか、どんな思いで書いたかを必ず確認してください。
職務経歴書の内容が曖昧なまま面接に臨むのは致命的です。
また、職務経歴書に書いた内容をカンタンに3分程度でプレゼンするように求められることもあります。
3分間のプレゼンは特別区Ⅰ類(大卒程度)試験では受験生全員に求められる関門ですが、経験者採用1級職試験でも急に求められることがあるそうです。

正直、即興で内容をまとめてプレゼンするのは至難の業です!
何も知らなければ面食らってしまいますが、「3分間のプレゼンを求められる可能性がある」ということを理解し、もしものためにプレゼンできるように用意しておくことをおすすめします。
2級職の場合
1級職と同じく、申込み時に提出した職務経歴書の内容に沿って面接が進みます。
- あなたが特別区職員を志望する理由を、携わりたい職務と、その職務を通じて実現したいことを交えて記入してください。(320文字以内)
- あなたが、特別区が求める「自ら考え行動する人材」に当てはまる人物であることを、今までの職務経験をもとに記入してください。(320文字以内)
- 今までの職務経験の中で失敗の許されない状況に直面した際、それをどのように解決に導いたか記入してください。(320文字以内)
- 今までの職務経験の中で、あなたが部下や後輩の指導・育成にあたった際、最も重視した点を記入してください。 (320文字以内)
したがって、職務経歴書を見返して面接対策することが必要です。
なお、2級職では事例問題が出題されます。
実務で発生しうるシチュエーションが書かれた紙を渡され、その場で読みます。

けっこう長文です!
その後、シチュエーションに対して主任としてどういった行動をとるのかを述べるというものです。
2級職は即戦力として実務能力が問われますので、こうした事例問題が出題されるのだと思います。
対策としては、常日頃の業務から「なぜこのような行動をとったのか?」「どういった行動が望ましいか?」ということを考える癖をつけることが重要です。
特別区経験者採用試験(事務職)のまとめ
数ある経験者採用のなかでも、特別区は採用人数が多いため非常に倍率が低いのが特徴です。
しかし、特別区経験者採用専門の対策は世の中にほとんど出回っていません。
予備校にすらほとんどありません。したがって個人の実力よりも、数少ない有力な情報をいかに入手し対策できるかが合否を分けます。
時間的に余裕がある場合は、20万円ほどかかりますが予備校を探し通うのも選択肢の一つです。
ただ、仕事をしながら予備校に通う時間が非常に無駄・手間です。
しかも大卒程度試験(Ⅰ類)と違い、経験者採用試験は予備校にかからずとも対策できるものが多いことが特徴です。
このような状況なので、まずは特別区経験者採用の定番コアテキストを使って対策し、それから予備校か独学か検討する方法が間違いありません。

自信を持っておすすめする自治体なので、ぜひトライしてみてください!
それでは、あなたの合格と幸せな未来を願っています!