特別区Ⅰ類採用試験・衛生監視(衛生)職の内容と対策

特別区採用試験ガイド
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この記事では、主に衛生状態等について検査・指導などを行う公務員である「衛生監視(衛生)職」の特別区Ⅰ類採用試験の内容と対策についてお伝えします。
※ちなみに衛生監視(化学)職は、主に清掃工場ではたらく公務員の採用区分です。

なお、特別区衛生監視(衛生)職採用試験は、以下の自治体・組合の公務員になりたい方が対象です。

  • 千代田区
  • 中央区
  • 港区
  • 新宿区
  • 文教区
  • 台東区
  • 墨田区
  • 江東区
  • 品川区
  • 目黒区
  • 大田区
  • 世田谷区
  • 渋谷区
  • 中野区
  • 杉並区
  • 豊島区
  • 北区
  • 荒川区
  • 板橋区
  • 練馬区
  • 足立区
  • 葛飾区
  • 江戸川区

※年度によって採用予定が無い区もあります。

 

特別区とは、東京23区の正式名称です。

東京23区には港区、江戸川区、世田谷区といった様々な区があり、それぞれ独立した自治体です。しかし、職員採用試験は一括して行っています。

たとえば、

「千代田区の衛生監視(衛生)職員になりたい!」

「世田谷区で衛生監視(衛生)職の公務員としてはたらきたい!」

といったように、23区のどこかの公務員になりたい場合、まず「特別区採用試験」というものに合格する必要があります。その後に、各区の面接試験を受け、合格すればその区に採用内定という流れになります。

衛生監視(衛生)職は事務職と比べて倍率が低いので、受験資格さえ満たしていれば有利な試験として有名です!

参考までに、令和5年の事務職倍率は2.5倍でしたが、衛生監視(衛生)職は1.8倍でした!

 

今回はそんな、コスパ最強ともいえる特別区の衛生監視(衛生)職採用試験について徹底解説します!

※ちなみに特別区では大卒程度をⅠ類と呼んでおり、社会人経験者採用と区別しています。

特別区衛生監視(衛生)職採用試験(Ⅰ類)は…
  • 30歳未満の人が対象
  • 教養試験、専門試験、論文試験、個別面接が試験科目
  • 特別区Ⅰ類採用試験に合格した後に、各区の試験がある
  • 希望の区に採用されるには、上位合格が必要!
  • 最終合格は総合判断(リセット方式ではない)
  • 一次試験は論文の配点がとてつもなく高い
  • 試験日が早いので、他の試験と併願しやすい

☆論文対策が非常に重要!

  

特別区Ⅰ類採用試験・衛生監視(衛生)職の受験資格

年齢要件と資格要件の2つを満たしている必要があります。

年齢要件

30歳未満の人が対象です。

事務職と同じく、日本国籍を有していることが条件です。

資格要件

次の資格を両方とも有していることが条件です。

  • 食品衛生監視員
  • 環境衛生監視員

ちなみに、試験合格後の3/31までに上記資格をもっていれば問題ありません。

つまり、受験申込時点では上記資格は必要ありません。

もっといえば、内定から3/31までの間に上記資格を取れれば良い、ということです!

特別区Ⅰ類採用試験の独特な採用システムについてわかりやすく解説

まず、採用内定までの流れについて解説します。

ざっと簡略化すると、以下の5ステップが必要です(参考までに令和5年度の日程を載せています)。

採用までの流れ(簡易版)
  1. 特別区採用試験の受験申込(3/17~4/3)
  2. 特別区採用試験を受験(1次:4/30、2次:7/9~7/19)
  3. 特別区採用試験に合格(技術職:7/26、その他:8/3)
  4. 各区面接の受験(技術職:7/26、その他:8/3)
  5. 各区面接の合格(内定)

ご覧いただければわかる通り、「特別区採用試験」と「各区の試験」の2段階に分かれています。

特別区職員採用試験に合格しただけでは、まだどこの区の職員になるかは決まっていません。

その後の各区面接に合格してはじめて採用内定になります。

 

では、令和5年度のスケジュールを基に採用内定までの流れを見ていきましょう。

採用内定までのタイムスケジュール
  • 3/17
    試験・選考案内・申込書の配布開始日

  • 3/17~4/3
    受験申込

    原則インターネット申込。面接カードを提供する。区を第1希望~第3志望まで書く。

  • 4/30
    1次試験

    筆記試験(教養試験+専門試験+論文試験)

  • 6/23
    1次試験合格発表

    合格通知に2次試験の試験日、集合時間および試験会場が載っている。

  • 7/9~7/19
    2次試験(対策はこちら

    個別面接(人物及び職務に関連する知識等について)。いわゆる人事院面接。

  • 7/26(技術職)
    8/3(その他)
    合格発表

    恐ろしいことに、合格順位が載っている。

  • 7/26(技術職)
    8/3(その他)
    区面接

    合格順位、希望区等を考慮し、特定の区から面接の連絡がある。

    ※自分で面接を受けたい区を選ぶことはできない。

  • 採用内定

    受けた区から採用内定連絡がくればおしまい。

    もし受けた区の面接がダメだった場合、別の区から区面接の案内がくる。その繰り返し。

 

このように、一般的な公務員試験にあたる「特別区採用試験」を受験して合格したあとに「区の面接試験」があります。

国家公務員試験の官庁訪問のように、自分からどの区を受けるか選ぶことはできません。

「合格順位」と「受験申込のときに書いた希望区」を考慮し、もっとも適切な区が選ばれ、その区からあなたのもとに面接案内の連絡がきます。そして、その区の面接を受験し合格すれば採用内定になります。

もし区の面接で残念な結果になったとしても、次に適切な区からまた面接案内の連絡がきます。その面接で合格すれば採用内定、だめならその次の区から面接案内がくる…この繰り返しです。

先輩合格者
先輩合格者

特別区採用試験に合格すれば、よほどのことがない限りどこかの区に採用されますので過度な心配は無用です。

 

区面接についてはこちらの記事で徹底的に解説しています。

特別区Ⅰ類採用試験の試験内容

内定までに受けなくてはならない試験は全部で3つあります。

特別区採用試験の1次試験、2次試験。そして、その後に待ち構えている各区の面接試験です。

それぞれ何をやるか?解説していきます。

1次試験

最初の関門が特別区採用試験の1次試験です。

例年ゴールデンウイーク前後に行われます。

教養試験、専門試験、論文試験の順番ですべて一日でやるハードな試験です。

最も配点が高いとされている論文試験が最後にあるのがポイントで、疲弊した中でも安定して書けるスキルが必要になります。

教養試験(120分)

一般教養についての五肢択一式(48題中 40 題解答)

  • ①知能分野(28 題必須解答)
    • 文章理解(英文を含む)
    • 判断推理
    • 数的処理
    • 資料解釈
    • 空間把握
  •  ②知識分野(20 題中 12 題選択解答)
    • 人文科学 4題・・・倫理・哲学、歴史及び地理
    • 社会科学 4 題・・・法律、政治及び経済
    • 自然科学 8 題・・・物理、化学、生物及び地学
    • 社会事情 4 題・・・社会事情

過去問を繰り返し解くのが一番の対策です。

テキストは人によって合う・合わないがありますので、あなたに合ったテキストを探しましょう!

専門試験(90分)

記述式、語群選択式等。6題中4題選択解答。

  • 公衆衛生学
  • 微生物学
  • 化学
  • 食品衛生学
  • 環境衛生学

食品衛生監視員、環境衛生監視員の範囲とほぼ同じで、難易度は低めなので、特別な勉強はいらないかと思います。

心配ならば過去問をざっと見て、不安そうなところは食品衛生監視員、環境衛生監視員の対策テキストでおさらいする流れで間違いないと思います。

試験問題及び正答の公表
試験問題及び正答の公表:
論文(80分)

課題式(2題中1題選択解答)
字数は1,000字以上1,500字程度

特別区では論文の配点がとてつもなく高いので、確実な対策が必須です。

「ウィルス」と「ウイルス」どちらが正しい書き方か?

こうした小さなポイントを押さえるだけで差を付けることができます。

正しい書き方から、安定して論文を書ける方法まで、こちらで徹底的に解説しています。

2次試験

1次試験に合格した後に、2次試験が待ち構えています。

例年7月上旬~下旬のいずれか1日を試験日に指定されます。

特別区採用試験は2次試験までなので、これに合格すれば余程のことがない限りどこかの区に内定はもらえます。

試験内容は面接1回のみです。

2次試験

人物及び職務に関連する知識等についての個別面接。

対策はこちらで徹底的に解説しています。

区面接

2次試験に合格すると、あなたの希望と試験成績を総合して、もっとも適切な区から連絡が来ます。

そして、その区の面接試験に挑むことになります。

これに合格すれば、晴れてその区へ採用内定です!

ほとんどの区は個別面接1回のみですが、一部では集団討論などを行う区もあります。

詳しくはこちらで解説しています。

特別区Ⅰ類採用試験・衛生監視(衛生)職の倍率

特別区はとても人気ですが、採用人数が多いうえに衛生監視(衛生)職は穴場なので倍率はかなり穏やかです。

有名民間企業の採用倍率が平気で数十倍、数百倍に達することを考えるとコスパは最強といえます!

令和5年度

令和4年度

ただし希望区に行くためには、倍率が一気に上がる

公表されている倍率はあくまで「特別区採用試験の倍率」です。

冒頭で紹介した通り、特別区採用試験の後に各区の面接試験があります。

公表されている倍率には区面接の倍率は含まれていません。区面接でも当然、合格・不合格はあります。

人気区の場合は区面接が本番と言っても過言ではありません。区面接を考慮すると、倍率は一気に跳ね上がります。

たとえば、一番人気のX区の採用予定人数が5人だったとします。合格者150人のうち、25人がX区を第一希望にしていた場合、X区の倍率は単純に5倍ということになります。つまり、特別区採用試験の倍率に加えてこの5倍も考慮すると、他の人気自治体をはるかに上回る倍率ということになります。

したがって、公表されている特別区採用試験の倍率は「どこでもいいからとりあえず、どこかの区に採用される倍率」だということです。

希望区に採用されるためには、より一層万全の対策が必要です。

特別区Ⅰ類採用試験・衛生監視(衛生)職の勤務地・職務内容

衛生監視(衛生)職のは特別区の衛生監視業務に特化した公務員としてはたらきます。

したがって、異動が多い事務職と比べて衛生監視の仕事に専念できる体制になっています。

主な勤務地

基本的には本庁勤務ではなく区の施設で勤務します。

主な勤務予定地
  • 保健所
  • 環境課
  • 衛生試験所

区にもよりますが、庁外施設は本庁舎よりアクセスがいい場所にある傾向があります。

主な職務内容

主な職務内容
  • 飲食店(風俗営業等取締法にいう風俗営業を含む。)・食品製造業・販売業等に対する設備・食品・添加物・容器等の衛生状態等についての立入検査・業務指導等
  • 理容所・美容所・クリーニング所・公衆浴場・旅館・興行場・プール・特定建築物・受水槽を持つ建物等に対する衛生状態等についての立入検査・業務指導等
  • 大気汚染・交通騒音・振動等環境に関する調査・対策等の実施
  • 薬事衛生・医事衛生に関する営業施設等に対する立入検査・業務指導等

区にもよりますが多くの場合、担当するエリアが決まっていて、その範囲で検査・指導をします。

ですので、裁量が大きく、比較的自由にはたらくことができることがメリットだと言う人が多いです。

先輩合格者
先輩合格者

本庁にありがちな無駄な内部政治やしがらみに心を潰すことがないので、やりがいがあると思います。

絶対に知っておくべき特別区Ⅰ類採用試験の特徴と対策!

多くの自治体と併願できる!

特別区Ⅰ類採用試験は例年、他の公務員試験よりも1か月ほど試験日が早いのが特徴です。

多くの公務員試験と日程が被らないので、併願先が豊富です。

逆に、他の公務員試験が本命で、腕試しや滑り止めのために特別区を受験する人も数多くいます。2次試験の辞退率の高さがそれを物語っています。

先輩合格者
先輩合格者

試験内容がスタンダードなので、他の公務員試験と併願してもあまり負担になりません!

ただし、東京都庁Ⅰ類Bとは併願ができない

特別区Ⅰ類は東京都庁Ⅰ類B採用試験と例年日程が同じなので併願できません。

おそらく、併願を防ぐ目的があるのだと思います。

また、特別区経験者採用、氷河期採用とも併願できません。

受験資格的にはⅠ類も経験者も氷河期採用も受験できる方もいるかもしれませんが、そのうち1つしか受験できないので注意です。

希望の区に採用されるためには上位合格する必要がある!

特別区と一言にいってもまったく別の魅力や特徴があります。例えば港区と葛飾区は趣が全然違いますし、渋谷区と千代田区は雰囲気が真逆です。

ですが、どちらも特別区です。そして、どちらの職員になるにしてもこの特別区職員採用試験を突破する必要があります。

こちらの記事で詳しく解説していますが、希望の区に採用されるには特別区職員採用試験で上位合格することが必要です。

特別区職員採用試験自体はそこまで合格難易度が高くありませんが、上位合格して希望の区への採用を目指す場合、一気に難易度は跳ね上がります。

したがって、配点が非常に高い、論文と面接に力を入れる必要があります。

最終合格は総合判断(リセット式ではない)

最近では1次試験の結果は最終合格に使わないという自治体がほとんどです。いわゆるリセット式という方式です。

一方で特別区Ⅰ類採用はリセット式ではないので、1次試験の成績も最終合格に使われます。

したがって、面接が苦手な人でも一次試験で頑張って点数を貯めておくといった戦略をとることができます。

 

とにかく論文の配点が異常に高い

特別区採用試験の特徴は何といっても論文の配点が異常に高いことです。1次試験の6割も論文の配点が占めると言われています。

つまり、論文ができなければ落ちますし、論文さえ良ければ受かります。

上位合格して希望区に行きたいなら論文ができるのは当たり前で、さらに高得点を取らなくてはなりません。万全の対策が必要です。

面接が苦手な方は、論文で稼げるだけ稼ぐ戦略が有効でしょう。

特別区は他の公務員試験と比べて短期合格者が多いですが、この論文の配点比率が原因だと言われています。論文さえできれば受かりますので、論文の勉強だけに注力すればいいからです。

しかし、論文はまともに向き合うと非常に難しいうえに、点数が安定しない科目でもあります。出題テーマを知っているかどうか、イチかバチかで合否が決まってしまうこともあります。

特別区Ⅰ類採用試験のまとめ

このように特別区Ⅰ類採用は、一見スタンダードな試験ですが、他の公務員試験とは異なる特徴があります。

やりがいがありますし、待遇も申し分ありません。非常に魅力的な自治体なので、ぜひ勝ち取ってください!

衛生監視(衛生)は受験資格が厳しいだけに、倍率が穏やかで、採用後の職場も恵まれているケースが多いです。

ですので、ぜひ挑戦してみてください!

ただし、特別区に合格するためには論文・面接を避けては通れません。

なぜならば、特別区は論文・面接の配点が異常に高いことで知られているからです。

この通り、教養・専門の点数がどれだけあっても簡単に逆転が起こります。

したがって、特別区に特化した論文・面接対策を取ることが非常に重要です。万全の対策をして、確実に合格を掴みましょう!

それでは、あなたの合格と幸せな未来を願っています!